「Originator Profile 憲章」を制定しました (6月27日日本文、10月17日英文公開)

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記事作成日: 2024/10/17

「Originator Profile 技術研究組合」(理事長=村井純・慶應義塾大学教授)は6月27日、インターネット上で情報発信者の真正性と信頼性のデータをユーザーに明示するデジタル技術「Originator Profile」(オリジネーター・プロファイル=OP)の基本理念と運用制度のあり方を定めた「Originator Profile 憲章」を制定し、7月1日を発効日とすることを決めました。本組合は今後、OP憲章に基づいて具体的な運用制度を整備します。

OP憲章は、2023年11月に村井理事長の諮問機関として設置した有識者検討会「OP憲章起草委員会」が半年近く議論を重ね、取りまとめました。起草委員会は、情報空間のあり方や技術動向、情報政策などに詳しい学識経験者8人で構成され、宍戸常寿・東京大学教授、曽我部真裕・京都大学教授、山本龍彦・慶應義塾大学教授の3人が共同座長を務めました。取りまとめたOP憲章は、理事会の承認を経て、本日の総会に報告されました。

OP憲章は、前文、第1条「OPの基本理念」、第2条「OPを使う情報発信主体の基本姿勢」、第3条「OP運用の基本的考え方」、第4条「OP技術研究組合の基本姿勢」、第5条「倫理委員会」、第6条「憲章の見直し」から成ります。

前文は、OPが今、必要とされる理由とその基本的な役割について説明しています。現在の情報空間は、人々の関心を過剰に刺激して広告収入を得るアテンション・エコノミーを背景として、真偽の区別が困難な情報が氾濫し、金融詐欺の横行など、安心して利用できる環境ではなくなっています。生成AIは偽情報を大量に生み出すことを容易にしています。こうした中で、OPは情報発信者の真正性と信頼性を分かりやすく明示することで、人々が信頼できる情報を見極め、主体的に判断することを助けます。

第1条は、OPの意義をより具体的に語っています。OPを使う情報発信者に責任ある行動を促し、健全な情報空間の構築を支援することを通じて、人々の「知る権利」の実現や民主主義の発展、個人の財産保護などに幅広く貢献します。

第2条は、情報発信者に対し、守るべき基本姿勢として「真実性(ファクト)を重視し、誤情報を発信したことが明らかになった場合には速やかに訂正すること」といった5要件を挙げ、その遵守を盛り込んだ情報発信ポリシーを作るように求めています。

第3条は、OP利用の可否の審査にあたり、原則、第三者団体(業界団体等)による確認等に基づいて、情報発信者の信頼性を判断することを示すものです。審査は、業種・業態なども考慮して行います。

第4条は、本組合がOPを巡って権限を濫用しないよう戒める内容です。情報発信者の表現の自由を不当に侵害しないこと、政府からの独立性やOP運用の公正性・透明性を保つことなどを定めています。

第5条は、情報発信者が自らの情報発信ポリシーに反し、OPを使いながら偽・誤情報の発信を繰り返すような場合の対応を規定しました。有識者による倫理委員会が、審査を経て、理事長に対して改善措置を取るように求めることができます。

第6条は、社会環境の変化やデジタル技術の進展の速さを念頭に置き、OP憲章を柔軟に見直せるように、あらかじめ手続きを定めています。

OPは、デジタル空間でマスメディアや企業などが発信する情報に、改変が困難な識別用の情報を付加することで、発信者の名称が詐称されていないか、また、発信者が本当に信頼できるかを、ネット利用者が自分で見極められるようにする技術です。本組合は、情報空間の健全性向上に向けて、OPの実証実験に引き続き取り組むとともに、OP憲章に基づく制度設計を進め、早期の実用化と普及を目指していきます。

OP憲章の全文はこちら

OP憲章起草委員会

OP技術研究組合理事長を務める村井純・慶大教授の話

「OP憲章起草委員会では、情報空間のあるべき姿、また、その中でOPがどのような役割を果たしていくかについて、様々な視点から突っ込んだ御議論をいただきました。そうした御議論の末に生み出されたOP憲章は、OPにかかわる者にとって、等しく共有すべき基本理念と遵守すべき大原則を示したものです。OPに対する国内外の関心と期待は日増しに高まっています。OP憲章の精神に則って、一日も早いOPの社会実装を実現し、健全な情報空間を作り上げることに貢献していきます」

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