Originator Profile (OP) 技術とは、インターネット上の情報(コンテンツ)の作成者・発信者を、ユーザーが確認するためのデジタル技術です。
シンポジウム「インターネットを健全な空間にするために」ダイジェスト
インターネットにおける偽・誤情報の拡散は、社会を脅かす深刻な課題となっています。 オリジネーター・プロファイル技術研究組合は、慶應義塾大学X(クロス) Dignityセンタとの共催で、シンポジウム「インターネットを健全な空間にするために」を2025年10月27日に開催しました。 偽・誤情報の社会的影響を多角的に検討するとともに、その対策技術「オリジネーター・プロファイル(OP)」に期待される役割と可能性について議論しました。ダイジェスト版をお届けします。
OPが使われる分野
OP技術によって、コンテンツ作成者・発信者が誰かを確認できます。ニュースや、公的機関による情報、医療情報や金融情報など、偽・誤情報が出回りやすい分野で、活用が期待されています。
インターネットユーザーの課題
偽・誤情報を見分けやすくする技術
OP技術は、
- コンテンツ作成者が誰か
- 発信者が誰か
- コンテンツが改ざんされていないか
を確認できる技術です。
コンテンツ作成者・発信者が加盟する業界団体などの第三者機関が、組織の存在などを確認し、その情報をユーザーがブラウザで検証できるようになります。ユーザーにとっては、コンテンツの作成者・発信者が確認できることにより、偽・誤情報が判別しやすくなります。
サイト運営者・広告主の課題
デジタル広告取引に信頼と安心をもたらす技術
サイト運営者にとっては、意図せずに自社サイトに詐欺広告が掲出されれば、自社サイトの利用者が詐欺被害にあうリスクにさらされます。また、広告主企業は、意図せずに偽情報サイトなどに広告が掲出されることで、ブランドに傷がつきかねない上に、広告費が反社会勢力の活動資金になってしまうことにもつながり得ます。
広告取引の過程で、双方が相手の存在と信頼性を確認できるようになることを目指しています。これにより、サイト運営者も広告主も、安心して適切な広告取引ができるようになります。
ネット空間の健全性の課題
OP技術は、作成者・発信者の真正性を証明するものです
情報技術の進歩は私たちの社会に様々な恩恵をもたらしました。情報技術は、社会に利益をもたらす一方で、フェイクニュースなど有害な虚偽情報の拡散を許し、信頼できる情報を見つけにくくなったり、真実そのものが揺らいだりしています。
原因の一つに、インターネット広告で収入を得るため、情報の正確性や信頼性を気にすることなく、偽・誤情報もいとわず耳目を集めることを目的とした、いわゆる「アテンション・エコノミー」が横行していることがあります。
また、生成AIの普及により、虚偽情報の生成が容易となり、状況はさらに深刻になっていく可能性があります。
選挙や災害時の情報に偽・誤情報が入り込むことは、民主主義や生活の安全にも大きな影響を及ぼす可能性があり、負の側面が大きな社会問題となっています。 これら負の側面を解消し、ネット空間の健全性を高めるためには、OP技術のような新しい情報技術が必要だと、私たちは考えています。